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第15話  

木戸三郎は爪楊枝を咥え、後ろに四、五人の子分を引き連れて、威圧的に篠田初の前に歩み寄った。

 「お前の親が俺に借金を返さないばかりか、警察に俺を訴えて、俺が違法取引をしているって言いやがった。そのせいで俺は数億円の罰金を払わされ、15日間も拘留されたんだ!」

 「出て復讐しようとしたら、あの臆病者どもは揃って飛び降り自殺しやがった。ほんとについてねぇぜ!」

 「お前は奴らのこの世に残した唯一の子だ。今日、俺に会ったのは不運だな!さあ、土下座しろ!俺の怒りは簡単に収まらんぞ!」

 白川悦子は「ガタッ」と立ち上がり、激しく木戸三郎に向かって咆哮した。「頭を下げるなんてあり得ないわ!お金がいらないか?欲しいなら、数千億円分の冥銭を焼いてやるから、ゆっくり使いなさい!」

 木戸三郎は激怒し、白川悦子の鼻先を指さして罵った。「どこの小娘だ!これは俺とこいつの問題だ。死にたくなければとっとと消えろ!」

 「私はお前のじいさんだ!」

 白川悦子は篠田初と木戸三郎の間に立ちふさがり、意味深に言った。「かわいい孫よ、お前は早く消えた方がいい。私の友達を怒らせるんじゃないよ。そうしないと、泣くことになるよ」

 この言葉を聞いて、木戸三郎と彼の子分たちは一瞬ぽかんとした後、腹を抱えて大笑いした。

 「ハハハハ、俺が泣く?」

 「この小娘、知らないんだろうが、この不幸な女はもう松山家から追い出されたんだ。松山家が彼女を守ってくれない今、彼女なんてただのゴミだ。俺がどうしようが勝手だろ!」

 ここ数年、木戸三郎はずっと篠田初に復讐したかったが、彼女が海都で最強の男である松山昌平に嫁いだため、その怒りを抑え込んでいた。

 しかし、数日前、彼は偶然にも篠田初が松山昌平に捨てられ、愛人が家に押しかけてきたことを知り、復讐のチャンスが訪れたと感じた。

 「へへ、神様のお陰よ。今日、俺たちがこうして会えたのも因縁だ。金があるなら払え。ないなら、その体で償えよ」

 木戸三郎は篠田初の白くて美しい顔に目を留め、涎が垂れそうになりながら手を伸ばして触れようとした。

 ふん、松山昌平が抱いた女を俺が抱けるなんて、どう考えても得しかなかった!

 篠田初は軽く身をかわし、眉ひとつ動かさずカップの温水を啜って、笑顔で言った。「賠償ね。いいわよ、でもあなたが耐えられるかしら?」

 木戸三郎はその言葉を聞いて喜び、卑猥な笑みを浮かべて言った。「もちろん耐えられるさ!」

 篠田初はカップを置き、美しい瞳を上げて木戸三郎を真っ直ぐに見つめ、誘惑するように言った。「じゃあ、あそこの小さな森の中に行こう」

 そうして、二人は本当に近くの公園の小さな森へと歩いていった。

 木戸三郎の子分たちはその様子を見て驚き、羨望の涎を垂らした。

 ただ一人、白川悦子は額に手を当て、心配そうな顔をしていた。そして、しばらく躊躇した後、二人の後ろから叫んだ。「あのさ......」

 木戸三郎は笑いが止まらず、新郎が新婦を寝室に連れて行くかのように嬉しそうに言った。「心配するな、俺様は手加減するよ。こんないい女、今後も楽しめたいから」

 「......」

 白川悦子は黙り込み、木戸三郎に同情の目を向けた。

 この大バカ者、誰に絡んでいるかもわからないで、離婚したばかりの初姉に絡むなんて、運が悪すぎるわ!

 ふん、生き残れるかどうかは、あの脂肪の塊にかかっていた。どれだけ耐えられるかが問題だった。

 数分後、小さな森からは惨めな悲鳴が聞こえてきた。

 「アアッ!アアッ!アアッ!」

 「やめてくれ!命だけは助けてくれ、助けてくれ!」

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